ワクチンによる病気予防「VPD」とは
「VPD」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
これは「Vaccine Preventable Diseases(ワクチン・プリヴェンタブル・ディジーズ)」という言葉の頭文字をとったもので、直訳をすると「ワクチンで防ぐことができる病気」という意味になります。
医療や保健衛生の仕事をしている人にとっては頻繁に耳にする言葉なのですが、一般の人には今ひとつ浸透していないというのが現状のようです。
私達は現在世界でも有数の高度な医療技術による治療を受けることができる環境に置かれていますが、この医療技術はこれまで数千年という長い歴史の中で積み重ねられてきた研究の成果によるものです。
現在の医療技術の中でも特に大きな発見とされているのがワクチン接種であり、あらかじめ体内に特定の病気に対する耐性を作るための抗体を摂取させることにより重大な病気に罹患することを防ぐことができるという技術です。
これまでの長い世界史の中では、一度罹患すると治療法がなくただ死を待つしかないという重大な病気が大発生するという事件も数多く起こってきましたが、このワクチン接種が行われるようになったことで病気そのものが消滅したという事例もまた多数あります。
ワクチン接種に最も適した時期とされるのが子供の時で、一定の年齢までに複数のワクチンを接種しておくことで成人してから大きな病気にかかりにくくすることができます。
こうしたワクチン接種によって事前に病気から体を守ることができる病気のことを「VPD」というわけです。
日本においてワクチン接種が少ない理由
高度な医療技術を持っている日本という国ですが、実はこのVPDへの罹患率は非常に高くなっています。
これは他の先進国に比べて幼少期のワクチン接種率が低く、本来ならば防ぐことができたはずの病気にかかってしまうという例が多いためです。
ワクチン接種率の低さを作り出している理由はいくつかありますが、その中でも最も重大であると言えるのが一般の人のワクチン接種に関する知識が不足しているということがあります。
また通常の治療や診療では適用される健康保険が、任意接種であるワクチンでは適用されなかったりするなど、金銭面での負担が大きいということも関係しています。
学校や自治体が行う予防接種もありますが、あえて受けさせないことを選択する両親もいるようで、思うように接種率が進んでいないというのが実情となっています。
確かにワクチン接種による副作用が報告をされることもあり、欧米で「ワクチン接種反対」という運動を起こす団体ができその影響から医療的予防行為そのものを否定するという人もいたりします。
しかしながらこれまでの歴史を見ても、ワクチン接種が健康維持にとって大変有効であるということは明らかです。
ぜひもっと積極的に子供の体を守るためのワクチン接種が普及していってもらいたいところです。