ターミナルケアでできること

ターミナルケアとは?

ターミナルとは英語の「terminal」、病気などが末期の状態を指します。
ですから、ターミナルケアとは末期患者の方をはじめ、認知症の方や、年配の方が人生の残りの時間をその人らしく、穏やかに過ごせるようにケアすることを意味します。
延命療法というよりも、症状の緩和や苦痛の緩和を目的として行います。

最期まで自分らしく過ごしたい、尊厳を持って扱ってほしい、そう思うのは人類共通の願いではないでしょうか。
そんな願いを持った、死を目前にした患者さんにご家族や医療従事者が何をできるかというのは、まだまだ課題として語られています。

ターミナルケアをいつ始めるかというのは、とてもデリケートな問題であり、多くの人はその話題を避けたがる傾向にあります。
なぜならば、ターミナルケアを始めることは延命療法を行わないということだからです。
患者さん本人が延命療法を望んでいなくても、家族が延命をあきらめることに罪悪感を感じてターミナルケアになかなか踏み切れない場合があります。
いつから始めるかは、患者さんとご家族が決定すべきことで、医療関係者が決断することはできません。

在宅のターミナルケア

最期は自分の家で過ごしたいという患者さんがほとんどです。
でも、在宅ケアは家族への負担が大きいという問題があります。
寝たきりの方や、認知症の方を在宅で世話するには入浴、トイレ、食事など日常生活を送るための介助をする人が必要です。

家族だけで在宅ケアを行うのは負担が大きいため、介護サービスやソーシャルワーカーを利用しましょう。
寝たきりの患者さんや車いす生活をしている患者さんには、褥瘡(じょくそう)ケアも必要です。
数時間ごとに姿勢を変え、皮膚を清潔に保ち、栄養バランスの良い食事が摂れるように工夫するなどのケアが必要です。

介護施設でのターミナルケア

プロにまかせられる介護施設で最期を過ごしてもらうことは、家族にとっても、患者さんにとっても負担が少ない方法です。
特別養護老人ホームや介護療養型老人保健施設などの介護施設では、ターミナルケアを行っていますし、介護保険も適用されます。
有料老人ホームの場合は、施設によって介護の度合いが違いますから入所する前に施設に確認しておく必要があるでしょう。

家族や親族が介護のために仕事をやめたり、調整したりする必要がないうえ、精神的に追い詰められるのを避けることができますし、患者さんは他の利用者と接することで孤独感を感じることがなく、適度な刺激を受けられるというメリットがあります。
ただし、ターミナルケアを受ける期間が明確でない場合は、経済的な負担が大きいというデメリットはあります。