飲みすぎている人の命を救おう!

アルコールカクテル

未だ軽く見られているアルコールによる被害

数年前に大学生が新歓コンパで大量の飲酒をし、急性アルコール中毒によって命を落としたというニュースが報道されました。

その事件以前からもアルコールに関する事件は潜在的に存在はしていたのですが、特に若年層が短時間で大量に飲酒をしてしまうことで生命の危険にもおよぶ危険な状態になるということはあまり認知されてはいませんでした。

大学や会社では新しく入ってきた人たちの通過儀礼として大量飲酒を強要するという飲酒文化もあり、「酒が飲めないやつは一人前ではない」といった誤った認識も多くの人たちから持たれてきました。

しかしアルコールは学説によってはヘロインやコカインのようなドラッグよりも人間の体に悪影響を与える可能性のある危険な物質であると言われており、そうした酒を飲むという行為を偉いとするような風潮そのものが大きな誤りであるといえるでしょう。

また自分の意志で飲むという場合以外にも2015年6月に起こった新宿歌舞伎町での明治大学生大量昏睡事件のように、高濃度のアルコールを他の人から与えられて意識を失ってしまうということもあります。

アルコール類は私達が生活をしている中で簡単に手に入れることができるものであることから、ついついそこから生じる重大な健康被害については見落とされてしまいがちです。

ですがアルコールは過剰に摂取することで即生命に関わる重大な症状になることもある危険なものであるということはできるだけ多くの人に知っておいてもらいたいものです。

急性アルコール中毒が疑われる症状とは

お酒は生まれつきの体質によって飲める量が変わってくるため、一概にどの分量以上を飲んでしまったら危険になるということを決めることはできません。

ですが人の体にはそれぞれアルコールの許容量があるので、その限界を超えた時に表れる症状は決まっています。

一般的にアルコール中毒とされる症状として、意識障害や嘔吐、血圧低下、呼吸数低下といったものが挙げられます。

医療関係者でなくても判断できる基準としては一人で歩くことができなくなったり、話しかけても適切な返答がないような意識の低下があるかどうかということです。

短時間のうちに大量に飲酒をすると血中のアルコール濃度が急激に高まってしまうため、酒類に含まれるエチルアルコールが体内に含まれることとなります。

このエチルアルコールの濃度が0.3~0.4%くらいになると即生命の危険が生じるようになってしまうとされており、0.2~0.3%くらいでも意識がもうろうとして正常な判断をすることができなくなってしまいます。

アルコールで恐ろしいのはそのお酒を飲んですぐにそうした症状が出るのではなく、飲んでから30分~1時間くらいの間をおいて症状が出てくるということです。

つまりそれまで楽しく飲んでいた人が急に横になり、そのまま放置をしていたらいつのまにか冷たくなっていたなんていうことも起こりえるということです。

お酒を飲むときには周囲の人もその人の様子を細かく気にして異常がないかを確認していくことが大切になります。

急性アルコール中毒を防ぐためにも

急性アルコール中毒を防ぐために最も重要なのが、本人の様態を見ての周囲の対応です。

まず最も重要なのが本人の許容量を超えてアルコールを飲ませないようにするということで、一気飲みや濃度の高いアルコールを強要するということは絶対にしてはいけません。

飲み過ぎてつぶれてしまった人は横にするだけでなく、細かく様子を見て具合が悪そうにしていないかということを確認していきます。

ひどい場合には完全に意識を失ってしまったり、口から泡を吹いたりしていたりするので、そうした時には迷わず救急車を呼ぶようにしましょう。

意識が少しでもある場合には衣類を緩めて体を楽にし、冷えないように毛布などで体を温めます。

吐き気があるときには楽な姿勢で吐かせるようにし、仰向けの状態で嘔吐をしてその嘔吐物で喉を詰まらせないようにするということも重要です。