一人ひとり
看護師の仕事は、肉体的にも精神的にもハードである事は、一般的にも言われている事です。
私が看護師を目指すと言い始めた時も、最初のうちは大変な仕事だから考え直したら?
と言うような事をさんざん言われたものです。
それは、学生実習の時にも感じていた事ですし、
実際に働くようになった今でもひしひしと体感しています。
看護師の仕事を始めてみて、日々の業務をこなしていく中で、
私が一番大変だと感じているのは実は患者さんやご家族とのやり取りです。
一人ひとり病状も性格も異なるのは当然の事ですが、
やはり入院治療中という不安定な精神状態の中にあるでしょうし、
病気や治療のつらさを抱えている訳ですから、看護師として適切な対応をしていかなくてはなりません。
幼い子供であっても、感情を抑えきれずに爆発してしまう子もいれば、
限界までぐっと我慢をしてしまう子もいます。
付き添いのご家族も、病院と自宅との往来で憔悴していたり、
子供の前では無理して明るくしていたりと、無理を重ねている事が多いものです。
看護師としてできること
看護師の仕事は、他の医療技術者の中でも最も患者さんに近い場所で行うものです。
病棟であれば、患者さんの身の回りのことや生活面などまで携わる事になります。
その分仕事内容は多岐にわたりますし、臨機応変な対応も必要になりますが、
その分立ち回り方によっては患者さんの入院生活を少しでも快適にしたり、
闘病の苦しみを緩和したりする事も出来るのではないでしょうか。
新人看護師の私は、他の業務もまだまだ未熟ですが、
患者さんへの対応が適切に出来ているかというのが正直最も自信が持てずにいる部分です。
先輩看護師の対応を見ていると、勉強になる事が多く、時には自己嫌悪に陥ってしまう事もあります。
そんな中で、先日私が初めて担当になった患者さんが退院していきました。
1週間ほどの入院治療で無事に完治という、この病棟の中では比較的短期間の入院生活をした小学生の女の子でした。
先輩看護師に比べると要領も悪く余裕もなく、何度かミスもあった私でしたが、
退院の時には私の名前を呼んで「ありがとう」と言ってくれました。
他の人から見たら、ごくありふれたシーンだと思います。
ですが、初めての担当患者さんが元気に退院していくという場面は、
予想以上にこみ上げる思いがあり、胸がいっぱいになっていました。
先輩看護師からは少しからかわれてしまいましたが、
ベテランになってもこの時が一番嬉しくやりがいを感じる瞬間であるのは同じなのよと教えてくれました。