患者さんからのクレーム対応術

破られた赤いハート

こじらせると大変な患者さんからのクレーム

看護師の仕事をしていて避けて通れないのがクレーム対応です。
病院内にいる患者さんは全て体のどこかに不調があるわけですから、少なからずストレスを抱えているということはよくわかります。

ですが場合によっては何度も繰り返し苦情を申し出てきたり、こちらの言い分を全く聞こうとせずに一方的に怒りをぶつけてくるという人もいるため、その対応にはかなり苦慮するところです。

もちろん本当に病院側に問題があり、誠実に謝罪をするべき事例もあります。
しかし概ねしつこくクレームを繰り返してくる患者さんというのは、何らかの解決策を望んで言っているわけではなく別のことを原因にしているようです。

ですのでクレーム対応をするときにはその問題だけを見ていても解決しないことがよくあります。
新人の看護師さんなどは恫喝的なクレームを真っ向から受け止めてしまうために精神的に大きなショックを受けて業務の継続が困難になることもあります。

患者さんからのクレーム対応の基本は「感情的にならない」ということに尽きます。
相手が激高していたり感情を大きく乱しているときこそ、相手のペースで話を進めてしまうのは非常に危険です。

こじらせてしまうとさらに話が大きくなってしまい本来の業務に支障をきたすこともあるので、できるだけ穏便に早い段階での解決を目指していくことが大切です。

「無視された」という気持ちが問題を面倒にする

患者さんの中でもとりわけクレームが多く聞かれるのは高齢者の方です。
高齢ということもあってか治療を受けている部分以外に体の不調を起こしていることもよくあり、「眠れない」「体が痛い」といった訴えを看護師によく伝えてきます。

そのため要望として受けたことについて必要な用品を備えたり体が楽になるように工夫をしていくことになるのですが、問題となるのはそのためのスピード感です。

例えば「枕が硬いので交換してほしい」という要望があった時に、その日のうちにすぐ交換をすればそこで話が収まるところ、何日も待たせてしまったために余計に怒りをかい、そこから大きなトラブルになった事例があります。

最初は一般的なクレームであった問題が、放置されることによって「自分のことが蔑ろにされている」という意識を植え付けることになってしまうので余計に問題が大きくなるのです。

普段からあまり素行のよくない患者さんの場合には、つい他の仕事を優先して後回しにしてしまいがちですが、そうした患者さんからのクレームこそ迅速に対応していく必要があります。

また対応したクレームについては他の看護師やスタッフと情報を共有していくことにより、その都度対応する手間を省き同じ問題の再発を予防できます。