オンとオフ
私がこの仕事を始めてから、テレビや本などで看護師が登場すると、子供が「ママと一緒だ!」と反応するようになりました。
また、「病院でどんな仕事をするの?」「ママも注射するの?」などと、仕事の内容を聞いてくる事が増えてきました。
少なからずも、私の看護師という職業について、好意的に興味を持ってくれているように思います。
私は、家にいる時には極力仕事の事を考えないようにしています。
新米看護師である私は、ひとたび職場に入れば未熟ゆえにミスをしたり至らなかったりする事も数多くあります。
また、病院という環境上、自分の力だけではどうする事も出来ない場面に対する事もあるのです。
このような思いを家庭に持ち込んでしまえば、当然落ち込んだ顔になる事も増えてしまうので、オンとオフの切り替えを大切に考えているのです。
ですが、どうやら子供は違います。
子供は、私が病院でどのような事をしているのか知りたいようです。
ある時たまたま、お医者さんごっこをしているところを見る事になりました。
うちの子が看護師で、患者さんはウサギのぬいぐるみです。
子供ふんする看護師は、実にかいがいしく優秀な働きぶりです。
苦しむ患者さんを優しく介抱し、ドクターの指示通りに注射をしたり包帯を巻いたり、いそいそと働きます。
淋しいと泣く患者さんをあやしたかと思えば、下のお世話までしているのには笑ってしまいました。
子供は、私が病院で一人前の看護師として大活躍しているところを想像しているのでしょうか。
自分が病院で見た事のある、優しくて頼りがいのある看護師さんの姿を私に重ね合わせているのかもしれません。
実際の私はと言えば、半人前にも満たない、未熟な新米看護師なので、申し訳ないような恥ずかしいような気持ちになります。
でも、正直悪い気はしないものですね。
現実との葛藤
私が仕事を始めたことで、子供には随分淋しい想いをさせてきました。
ある時は、子供が急に熱を出した時にさえも、私の実家の両親に預けて、私は一緒にいてあげることすら出来なかったのです。
看護師という職業を選んでおきながら、苦しむ我が子の看病をしないで、職場では他の子の看護をしているのですから、正直葛藤もありました。
ですが、そんな思いをさせていながら、娘たちは私の仕事を好意的に受け止め、活躍する私を想像してくれているのですね。
このような子供の姿は、何より私にやる気と勇気を与えてくれます。
今は未熟な新米ですが、子供に胸を張れるような一人前の看護師になれるように頑張りたいです。