ママ友
看護師はとてもハードな仕事ですが、私の他にも子育てと仕事を両立している先輩方も沢山いらっしゃいます。
私の場合は、子供を産んでから看護学校に通い、初めて今の病院で働き始めた子持ちの新米看護師という、他の人とは少々違った境遇である事から、お子さんの方は大丈夫?
とよくお声をかけてもらえるのでしょう。
中には、他の病棟勤務でまだよく話した事もない方が、話しかけてくれる事もありました。
このように、子供の話で親しく話せる人が病院の中で増えてきたのは、ありがたい事だと思います。
この仕事をしながら子供を育てるには悩みが付き物ですから、お互いに子供の話をする間柄となる訳ですが、参考になる事や勉強になる事も多く、私にとってはとても有意義な相手です。
中でも、同じ病棟の先輩のAさんは、私の子供とAさんの下の子の歳が近いという事もあり、子供のことで悩む時にはAさんに相談というのが私の中で常になっていました。
母親としてできること
ある時、私は仕事を始めてから気になっていた子供の話をAさんに聞いてもらった事があります。
それは、仕事で家をあけがちになってから、子供の口から「淋しい」という言葉をきかなくなった事です。
それどころか、子供は私に対してわがままめいた事をほとんど言わなくなっていました。
感受性が強く、思いやりのあるところが我が子の素敵な点だと思ってきましたが、実際にはその性格ゆえの苦しみを抱えていたのではないかと思えてならないのです。
するとAさんの家庭でも子供の反応が気になることがあったと言いました。
例えば、下のお子さんは思うがままに感情をあらわにし、上の子は逆に感情を溜めこんであとでそのしわ寄せが来る事があったそうです。
大人の事情を察してしまう上の子ならではの感性では、下の子が感情をむき出しにする前では到底自分まで一緒にわがままを言う事など出来ないのかもしれません。
Aさんは、「無理に子供に感情を口にさせる必要はないと思うよ」と言いました。
母親がこんな仕事をしていれば、淋しいのは当たり前だからだそうです。
「母親としてしてあげられるのは、話をよく聞いてあげる事、これが一番大切だと思うよ」そう言って、私を励ましてくれました。
それからは、私も意識して子供との会話を大切にしてみるようにしたのです。
できるだけ聞き役に回り、子供の気持ちに寄り添うようにしていたところ、しばらくしてこんな言葉が出ました。
「でもねママ、私だって本当は淋しかったんだよ」