重篤とは
看護師というのは、毎日命の危険にさらされている人と対峙しなければならない、ハードな職業です。
病院勤務でなければなかなか使われないような言葉を耳にするのも、看護師という職業の特徴です。
普段、日常生活では使われることのない言葉のひとつに「重篤(じゅうとく)」があります。
重篤というのは病態の具合を表す表現のひとつで、病状が非常に重い場合に使用されます。
容態が重く、命にかかわるような状態が重篤と呼ばれます。
具体的には「心臓と呼吸が停止する、もしくは停止の危険性がある」のことを意味します。
患者さんが救急で搬送時された際、傷病者の重症度によって「軽傷」「中等症」「重症」「重篤」「死亡」の5つに分類されます。
つまり、重篤は死亡の次に重い状態ということになります。
重篤という言葉は医薬品の副作用として呼吸困難や意識障害、消化管出血などを起こしているときによく使われます。
38度以上の高熱なども医薬品による重篤な副作用のひとつですから、十分に注意する必要があります。
重篤と危篤・重体・重症の違い
「重篤」と「危篤」「重体」「重症」は、いずれも症状が重い際に使用される言葉ですが、厳密にはそれぞれ違いがあります。
まず危篤と重篤という言葉ですが、危篤というのは重篤な状態の患者さんが快方に向かう兆しがなく、死に近い状態にあるときに使用されます。
危篤と判断されてから患者さんが亡くなるまでの時間は数時間のこともありますし、時には数週間にわたって危篤状態が続くこともあります。
患者さんの呼吸が弱くなる、血圧がおびただしく下がる、意識がなくなるといった症状が見られます。
重体も、重篤と間違えやすい言葉です。
容態がかなり重く、命を落とす危険な状態が重体です。
医療の場では重篤という言葉が使われるシーンでも、警察や報道などでは重体という言葉が使われることが多いようです。
保険会社なども、重篤ではなくて重体という言葉を使用しています。
家族が重篤だと言われたら
家族が重篤だと言われれば誰でも動転してしまうものですが、病院から連絡があった場合にはできるだけ早く駆けつけるべきでしょう。
この際、現金や身分証明書、クレジットカード、携帯電話などは忘れずに持参します。
患者さんの意識がないように見えても、声が聞こえていることがありますので、できるだけ声をかけてあげるようにしましょう。
重篤な状態が何日間か続くこともありますので、職場にも早めに連絡を入れておくべきです。
家族に知らせる際には、病室の番号などを忘れずに伝えましょう。
着替えが必要になりそうであれば、このときに頼んで持ってきてもらいます。
悲しい気持ちはできるだけ抑えて、自分に何ができるのか、何をしなければならないのかを落ち着いて考えるようにしたいものです。